個人事業主として軽貨物ドライバーとして稼働するのであれば、一番気になるのは働き方だと思います。

ただ、軽貨物配送も他の事業同様に一概に稼げるというわけではありません。

軽貨物配送で稼ぐためには案件と、その案件をこなすドライバーのスキルが大切になります。

そこで、稼げる案件と稼げない案件をそれぞれご紹介していきますので、案件選びの参考にしていただければと思います。

一番稼げる働き方は宅配案件

なんと言っても軽貨物配送で一番安定して稼げる働き方は宅配案件になります。

ただ、条件があって一日働いて◯◯円という金額保証の案件ではなく、1個配達完了で◯◯円という個建て(こだて)案件に就くことです。

個建て案件の宅配では、配達能力が収入に直結してきます。

また、最近のインターネットショッピングの普及によって宅配便の荷物が増えている事も稼げる要因となっています。

稼げるドライバーになると平均して70万円~80万円は稼ぎます。

ドライバーは自分の配達エリアがあらかじめ決められて、そのエリアだけを担当することになりますが、その地域の特性が分かってくると、だいぶ配達できるようになります。

タワーマンションの多い地域では、他業者との宅配ボックスの争奪戦になりますので、昼前までに行くことで100%配達できるとか、あそこの奥さんは10時前までは家にいるから違う方向から配達しようとか、そうゆう地域の特性が分かる事で効率的に配達することが出来るようになります。

しかし、慣れるまでは2ヵ月~3ヵ月の期間は必要になりますので、慣れるまでの期間は我慢の期間になります。

3月・7月・8月・12月であればチャーター便も大きく稼げる

軽貨物運送の繁忙期は3月・7月・8月・12月ですが、この時期は荷物がよく動くのでチャーター便も大きく稼げる可能性があります。

チャーター便とは、距離によって運賃が決まる配送形態になります。

例えば、東京から大阪まで(約600km)荷物を運んで10万円というチャーター便もあります。

ただ、チャーター便は繁忙期以外では、案件の競争率が高く獲得するのが難しいので、それほど稼げないのが実情です。

昔はチャーター便だけで生計を立てるドライバーも多くいましたが、現在ではチャーター便だけで生計を立てているドライバーは珍しくなりました。

チャーター便の一日の流れ

チャーター便でのドライバーの動き方に決まりはありません。

ただ、大きく前日までにチャーター便の予約があるパターンと予約がないパターンで動き方は変わってきます。

それぞれの動き方はチャーター便のドライバーの動き方としてご紹介します。

前日に予約があるパターン(中距離チャーター2本)

  • 9:00到着
    前日までに予約があった積み地に到着。

    予約で指定された時間、担当者、荷物の名前、個数を確認して車に積み込みます。

    指定された時間の10分前に到着し、指定された時間は厳守になります。

  • 9:15出発
    専用の端末などもなく、基本的には荷物を積み込んだら出発となります。

    依頼者によってはだいたいの到着時間の目安に出発コールが必要になるケースもあります。

  • 12:00終了
    配達先に荷物を配達して現地で終了。

    2便目の集荷時間まで待機。

  • 14:00集荷
    1便目同様、予約で指定された時間、担当者、荷物の名前、個数を確認して車に積み込みます。
  • 14:00出発
    1便目同様、荷物を積み込んだらすぐに出発します。
  • 19:00終了
    配達先に荷物を配達して現地で終了。

    現地で解散。

前日に予約が入ってないパターン(長距離チャーター1本)

  • 7:00待機
    前日までに予約がない場合は家で待機となります。

    委託業者や協力仲間からの依頼があった場合に、すぐに出発できるように着替えて身なりを整えておきます。

  • 9:00出発
    依頼の電話やメールがあったら、なるべく早く家を出て集荷先に向かいます。

  • 10:00到着
    指定された時間、担当者、荷物の名前、個数を確認して車に積み込みます。

  • 10:15出発
    荷物を積み込んだらすぐに出発します。
  • 17:00終了
    荷物を配達したら現地で業務終了となります。

チャーター便運賃表例

距離 税抜運賃(税込み)
20km迄 4,500円(4,950円)
21km〜50km迄:1kmにつき 200円(220円)
51km〜100km迄:1kmにつき 150円(165円)
101km~150km迄:1kmにつき 120円(132円)
151km以上:1kmにつき 100円(110円)
チャーター便料金シミュレーション

東京都江東区~大阪府大阪市まで(距離600km)

20km迄:4500円

21km~50km:200円×30km=6,000円

51km~100km:150円×50km=7,500円

101km~150km:120円×50km=6,000円

151km~600km:100円×450km=45,000円

6,000円+7,500円+6,000円+45,000円=64,500円(税込み70,950円)

上記の料金表は一例ですが、軽貨物事業のチャーター便は細かく料金が設定されています。

一般的に、最低基本料金が設定されていて、走れば走るほど1kmあたりの単価は下がる傾向にあります。

軽貨物事業だと、100km以下の中距離のチャーターが多いので、目安として100km走っていくらになるのか頭に入れておいたほうがよいでしょう。

ちなみに原則、チャーター便は緊急便になりますので、荷物を積み込んでからは高速道路を使って配送する事になります。

その際の高速料金は、基本的には依頼者持ちになりますが、一応高速道路の使用が可能か、料金は払ってもらえるのか確認しましょう。

チャーター便は気持ち的にも肉体的にも優しい

仕事の流れを確認してもらえれば分かるかと思いますが、チャーター便は基本的に、A地点で荷物を積んでB地点で荷物を降ろす単純な配送になります。

単純な配送とは語弊がありますが、チャーター便は宅配便のように何百件も配達してそこに不在があったり、再配達の時間指定があったりなどがありません。

案件によっては1件積み3件降ろし、2件積み1件降ろしなどもありますが、それほど複雑ではないのが特徴です。

また、荷物にもよりますが大概は段ボール4~5個程度が多く、案件によっては封筒モノだけということも珍しくありません。

その為、年配や女性ドライバーに人気の案件となっています。

このようにチャーター便は気持ち的にも肉体的にも優しい仕事になります。

繁忙期は稼げるがそれ以外では安定して稼ぎにくい

仕事の流れや内容を聞くとチャーター便のみで生計を立てたいと考えるドライバーもいますが、それはあまりおすすめしません。

なぜならチャーター便は繁忙期と言われる3月、7月、8月、12月は荷物が動く季節になるので、大きく稼げる可能性がある仕事ですがそれ以外の季節では、仕事の量がバラバラで収入が安定しない傾向にあるからです。

その為、チャーター便を走るドライバーでも平日は月曜日~金曜日まで決まった仕事をして、その合間(平日夜、土日祝日)にチャーター便を走って収入を上げる、チャーター便を副収入と考えているドライバーが多いです。

それでも繁忙期には70万円~80万円程度稼いで、それ以外の月は20万円~30万円稼げればいいやと考える方であればチャーター便一本で検討してもいいかもしれません。

チャーター便は『待機』と上手く付き合っていく必要がある

チャーター便の仕事は、仕事と仕事の合間や集荷前、家での待機の時間が発生します。

この待機の時間と上手く付き合っていかなければならない仕事になります。

また、待機していても仕事が発生する確証もありません。

待機中はこのような不安とも戦っていかなければなりません。

現在では、待機中にスマートフォンでU-NEXTやhuluなどの動画サービスで待機時間を紛らしているドライバーが多いです。

ちなみに、集荷待ちや配達先での生じる待機時間(30分以上)に関しては料金が発生するケースも多くあります。

併せて依頼者に確認して請求するようにしましょう。

最近はギグエコノミーによるチャーター便で稼ぐドライバーも多い

主なギグエコノミー(軽貨物)

Uber Eats(ウーバーイーツ)/PickGo/Amazon Flex

pickgo案件依頼画面

軽貨物の世界にもギグエコノミーでの働き方が増えてきています。

ギグエコノミーとは、インターネット(スマートフォンのアプリ)を通じて単発の仕事を受注する働き方になります。

インターネットから案件を探して、自分の希望する時間帯の仕事がないか探してエントリーをします。

エントリーの中から、過去の配送実績を見て依頼者が最終的なドライバーを決めます。

このように軽貨物業者に所属せずに、フリーランスとして活動するドライバーも近年では多くなっています。

チャーター案件で稼ぎたいと考えている方であれば、ギグエコノミーでの働き方も検討してみてもよいでしょう。

チャーター便で旅行がてら稼ごう

軽貨物のチャーター便は稼げる?仕事内容ご紹介まとめ
  • 精神的・肉体的に優しい
  • 荷物が運びやすい
  • 待機時間が発生する
  • 最近の主流はギグエコノミーによるチャーター案件

チャーター便は老若男女問わず活躍できる仕事でとても人気のある仕事になります。

その為、競争率も高く案件の獲得には少しハードルが高くなってきています。(特にギグエコノミーによるチャーター便)

ただ、受注できれば1本走って数万円になりますし、配達先で温泉を浴びて帰って来るなんてことも可能です。

まさにチャーター便の醍醐味と言ってもよいでしょう。

また、帰りの便も予約しておいて、往復でチャーター便を走れれば理想です。

チャーター便は難しい仕事ではありませんが、緊急便の為、遅配にはとても厳しい罰があることもあります。

そのような特徴も踏まえてチャーター便にあたるようにしてください。

企業配は初心者が安定して稼ぎやすい働き方

配送未経験の初心者が比較的稼ぎやすいが主に会社に集配する企業配の案件です。

企業配の案件は、個建て制ではなく一日保証で設定されていることが多いですが、比較的高く設定されています。

一般的な相場で言えば、一日保証金額で15,000円~18,000円になりますので、月収375,000円~450,000円が稼げる金額になります。

軽貨物配送で言うと、そこまで稼げる部類の案件ではありませんが、仕事量が安定していて土日祝休みでそこそこ稼げますので、配送初心者の方には企業配はおすすめです。

スポット便で単価の高い案件だけこなす働き方もアリ

単価の高いスポット便で効率よく稼ぐのもアリです。

スポット便とは、あらかじめ期間と報酬が決められている配送形態になります。

単価の高いスポット便とは例えば、どこかの現場で緊急的にドライバーが足りない状況が発生している時や運ぶ荷物が精密機器で慎重に運ぶ必要がある配送になります。

このようなスポット便を獲得する為には、軽貨物仲間や物流倉庫などのネットワークを広くしておくことが大切になります。

しかし、当然ですが単価の良いスポット案件はそれほど依頼がありません。

スポット案件はあくまでも副収入的に捉えて取り組むことをおすすめします。

スポット便だけで生計を立てるのは至難の業

最近は、ピックゴーやUber Eats(ウーバーイーツ)などに代表されるギグエコノミー系の配送が増えている事からスポット便で働くドライバーが増えています。

ただ、スポット便だけで生計を立てようとするのは危険です。

というのも、スポット便の契約期間は大抵数時間から長くて一日という短い期間での契約になる為、かなり不安定な働き方になります。

スポット便は、言うなれば運送業の派遣のような働き方です。

繁忙期(3月、7月、8月、12月)であればスポット案件も増えるのでまとまった収入になりますが、それ以外では案件の取り合いになりますので、仕事を受注することも難しくなります。

巷では、ピックゴーだけで今月30万稼げたぜぇ~、などと自慢しているドライバーもいますが、しっかりと一年を通した収入を見越して仕事にあたるようにしましょう。

スポット便の料金の目安は半日1万円

スポット便の料金の目安は半日(4時間~5時間拘束)で1万円になります。

時間給で言えば、2,000円が目安になります。

A地点からB地点まで配送していくらという料金形態の場合には、A地点からB地点までいくのにどれくらいの時間がかかるのか計算して料金相場を見る必要があります。

例えば、埼玉県加須市で荷物を積んで神奈川県横浜市までは高速道路を使って4時間~5時間の配送時間がかかりますが、その際の料金が1万円であれば相場通り、8千円だと安いということになります。

どうしても案件の取り合いでスポット便の料金は低く設定されがちですが、なるべく相場以下の仕事はせずに稼働時間当たりの収入を上げることを意識しましょう。

ただ、ピックゴーなどでスポット便を場合には、最初は自分の配送実績を作るために低単価の仕事を引き受けることも大切です。

宅配便系のスポット案件には注意

スポット便の中には、個人宅へ配達する宅配便系の案件(午前中のみ稼働でいくらという形態)もありますが受けるのは慎重になりましょう。

宅配便の案件は慣れるまでに2~3ヵ月必要とする、軽貨物配送の業務の中でも非常に難易度が高いものになります。

※一般的には宅配便の案件は一個配達して150円という収入形態になりますが、スポット便だと時間単位で案件の発注が行われることになります。

また、慣れない土地での個人宅への配送では誤配も多く発生します。

地図やナビを見ながら単距離の配送を繰り返すことになるので、事故のリスクも上がります。

宅配便のスポット案件を受ける際には、くれぐれも注意するようにしましょう。

スポット便はどこから受注するのが得策か?

冒頭でもご紹介したように最近ではスポット便というと、ピックゴーやUber Eats(ウーバーイーツ)、アマゾンフレックスなでのギグエコノミー系の案件で探す方が多いかもしれませんが、現在では案件に対してドライバーの数が多い状況でかなり競争率が高く案件を獲得するのは難しい状況です。

おすすめは委託業者に所属しスポット案件を振ってもらう働き方です。

委託業者とは、軽貨物の事業者を束ねる営業会社になります。

希望の配送条件(収入・時間帯・職種)などを提示すると、スポット案件を紹介してくれます。

委託業者の利益は、軽貨物事業者への紹介報酬で成り立っているので積極的に仕事を紹介してくれます。

手数料分は引かれてしまいますが、安定した仕事量を確保する事ができます。

ただ、委託業者の中には実績のない所も多く、言葉巧みにドライバーを確保している所もあるので所属する委託業者には注意が必要です。

スポット便を積極的に受けて収入に上乗せしていこう

スポット便(軽貨物)の仕事内容まとめ
  • スポット便だけで生計を立てるのは難しい
  • 料金の目安は半日(4時間~5時間)で1万円
  • スポット便は委託業者から紹介してもらう

スポット便はあくまでも補助的な副収入と捉えて、それ以外にもチャーター便やレギュラーのお仕事もこなすようにしましょう。

スポット便のおすすめは、月曜日~金曜日までレギュラーの仕事を行い、土曜日の午前or午後にスポット便を半日行うという働き方です。

そうすると一ヶ月にスポット便で4万円~5万円の収入を積み上げることができます。

委託業者に所属すると手数料が引かれてしまうと考える方もいらっしゃいますが、長い目で見ると精神的な安心感を得ることができます。

それでも自分で案件をバシバシ獲得していくんだ!という方は物流倉庫などに営業しに行ってスポット案件を獲得していけばいいですが、そうではなく安定して稼いでいきたいと考える方は委託業者からスポット案件を紹介してもらうことをおすすめします。

ルート配送で稼ぐのは難しい

毎日決められた場所に集配に伺うルート配送では、大きく稼ぐのは難しいと言わざるを得ません。

ルート配送は基本的に、一日保証の金額が軽貨物配送の業界で一番単価が低く設定されている働き方であるためです。

これは案件に対する人気の指標とも言えます。

ルート配送は稼ぎはそこそこでいいから、身体の負担の少ない業務を希望するドライバーにとっては最高の現場で配送によるストレスもほとんどないのが人気の働き方となっています。

その為、少々金額が低くても案件が埋まる為、金額が低く設定されています。

求人誌に出ている案件は稼げない?

軽貨物配送の仕事は求人誌によく出されていますが、あれらの案件は委託業者の紹介料分を差し引く前の金額が提示されていることが多くあり、純粋な手取り収入で言うと大したことがない案件がほとんどなので注意が必要です。

委託業者とは、フリーランス軽貨物ドライバーに案件を紹介してくれる営業会社ですが、紹介料では金額の10%~15%が差し引かれることが一般的です。

一日保証金額2万円の案件です!と求人誌に掲載されていても、実際のドライバーの手取り分は紹介料が引かれた1万7千円ということもざらにあります。

求人誌に掲載されている委託業者のい案件では、純粋な手取り額なのか紹介料が差し引かれる前の金額なのか確認するようにしましょう。

軽貨物配送はそれぞれの案件を組み合わせて大きく稼げる働き方

軽貨物ドライバーの働き方を紹介してきましたが、大切なのは一つの案件に縛られることなく柔軟に稼げる案件を獲得していくフットワークの軽さです。

おすすめの働き方としては、定期(レギュラー契約便)で宅配や企業配などをこなしつつ、空いている時間でチャーター便や単価の高いスポット便をこなす働き方です。

この働き方であれば、最低限の収入を確保しつつ、副収入として上積みしていくことができます。

その為にも、基本的な事ですが軽貨物ドライバーで稼ぐためには健康な身体が必要です。

軽貨物ドライバーとして稼働するのであれば最低でも年収600万円を目指して業務にあたるようにしましょう。

軽貨物の働き方の記事一覧