残念ながら軽貨物の業界にもドライバーを狙った詐欺業者が存在します。
このページでは『詐欺』を、ドライバーを騙して利益を得ようとする行為を指しています。
軽貨物業界で横行している代表的な詐欺と実際に詐欺罪が立件された判例をご紹介します。
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高額なマージンの中抜き
高額なマージンの中抜きは軽貨物業界において代表的な詐欺と言ってよいでしょう。
業者は案件をドライバーに紹介するマージンで成り立っていますので、マージンを取るのは企業として至極当然のことですが、このマージンがドライバーに分からないように中抜きされているとすれば、これは詐欺行為にあたります。
ちなみに軽貨物のマージンの相場は10%~15%です。
例えば、A社(荷主)がB社(業者)に一日20,000円の案件でドライバーを探すように依頼があった場合、通常であれば20,000円の案件としてドライバーに紹介して、その10%~15%が業者の利益となります。
詐欺業者はドライバーに紹介する前に中抜きした金額をドライバーに提示することで中抜きしたマージンを得ようとします。
本来であれば20,000円の案件を18,000円でドライバーに紹介することで、本来より2,000円多く利ザヤを得ます。
マージンの中抜き詐欺に関しては、契約前に案件の提示金額について確認しておきましょう。
提示された金額は荷主からの金額なのか、それとも業者が中抜きした金額なのか。
そして、口約束ではなく契約書にその旨の記載を確認するようにしましょう。
現在の軽貨物の業界の単価は一時期よりも下がっている傾向にあり、業者が中抜きすればドライバーの手取りはとても厳しいものになります。
マージンの中抜き詐欺はドライバーにとって死活問題となるとても重大な問題です。
最初の契約時によく確認するようにしましょう。
不当な手数料や違約金の搾取
軽貨物業者の中には不当な手数料を搾取している所もあります。
業者によってはドライバーに代わって黒ナンバーの登録や荷主への請求業務を代行してくれるところがあります。
この代行手数料を不当に高く請求する詐欺業者が存在します。
1,500円程度で済む黒ナンバーの登録費用や初期投資に10万円払わせることや、請求業務に2万円~3万円手数料をとるなどです。
また詐欺業者独自のルールで高額な違約金を請求するところもあります。
欠車(出勤日に休むこと)は10万円、誤配は3万円をドライバーに違約金請求するなどです。
一般的な軽貨物業者にこのような高額な違約金の請求はありません。
違約金についても契約前によく確認するようにしましょう。
求人情報と実際の現場が違う(仕事あるある詐欺)
求人雑誌やホームページなどに記載されている情報と実際の現場が違う詐欺も横行しています。
求人情報には稼げる案件や条件の良い案件を提示して、ドライバーを募集する詐欺手口です。
また、マージンや手数料を掲載せずに、売上がそのまま手取りになるかのような記載もよくあります。
例えば、週休二日、一日の売上15,000円×25日=375,000円、加盟金不要!などの記載です。
しかし、実際にはマージンや手数料、軽バンのレンタル料、保険代などが差し引かれて手取り20万円にも満たないなどが平気で横行しています。
そもそも稼げる案件はすぐに埋まってしまい、求人情報などにはほとんど掲載されません。
誇大な求人情報を掲載する業者には要注意です。
高額な軽バンを購入させられる(内職商法)
今は少なくなりましたが、一昔前に流行ったのが契約時に高額な軽バンを購入させられる内職商法詐欺です。
内職商法詐欺の悪質な所は、軽バン購入の仲介で利益を狙うのが目的で実際には案件の紹介なども少ない点にあります。
軽貨物の仕事を辞めてもドライバーには150万円近い新車をローンだけが残ります。
箱車と言われる荷台がパネルで覆われている事業用軽バンの購入ではプライベートでも使いずらくさらに悪質です。
今は軽バンを持っていなくても、レンタルやリースで対応できる業者がほとんどです。
契約時に軽バンの購入が条件の業者は要注意です。
軽貨物自動車運送業の独立支援に係る契約の解除に関する紛争事件
少し古いですが平成21年3月に軽貨物事業者による詐欺罪が認められた判例がありますのでご紹介します。
2 紛争の概要(申立人の主張による。)
申立人は、「仕事は 100%紹介」、「月 40~50 万円以上可」などと書かれた、軽貨物自動 車での運送業の仕事を紹介する新聞の折り込み広告を見て説明会に出向いた。
ペーパー ドライバーで運転に慣れていないことを担当者に伝えたところ、「仕事はたくさんある。」、 「自宅から 10~15 分の近い所へ配達する仕事から始め、徐々に配達先を増やしていけば よい。」、「配送ルートを覚えるまでのサポートとして、ドライバーの助手席に座り、道 順を覚えてもらうので大丈夫。」などと説明され入会の契約をした。また、業務に必要で あるといわれ、事業者が指定する軽貨物自動車の購入契約をした。
しかし、実際に紹介された仕事は、事業者の説明とは異なり、自宅から配達先が遠い もの、配達先が多数あるものなどばかりで、配送ルートを覚えるためのサポートもなか ったため、ほとんど断ることとなってしまった。
収入もほとんどないのに、車庫代などを支払い続けることに納得がいかず、契約解除 を申し出て、軽貨物自動車の購入代金を含めた既払い金の返金を求めたが、これに事業 者が同意せず紛争となった。
軽貨物自動車運送業の独立支援に係る契約の解除に関する紛争事件
被害者は契約時に入会金と軽バンの購入で1,890,958円を業者に支払っています。
このうち、516,830円の返金で両当事者が合意し解決しました。
被害者が要求した全額返金とはいかず、516,830円の返金で解決した判例になりますが、これの内訳は入会契約(407,420円)、自動車保険契約(109,410円)が返金されました。
軽バンの購入費用1,374,128円の返金は認められませんでした。
詐欺業者の上手い話しには要注意
- 事務所が派手
- 社長の車が高級車
- 契約を急かされる
軽貨物業者の詐欺事例と実際の判例をご紹介しましたが、詐欺罪は立件するのがとても難しいのが現状です。
詐欺被害に遭わない為に、今回紹介した事例を念頭に置いて業者選びを行ってください。
業者選びは労力のいることですが、妥協せずに信頼のおける実績のある業者を選ぶようにしてください。
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